
父と大型の凝ったウサギ小屋を作ったのがはじまり
私がハンドメイドを好きになったきっかけは、ずいぶん前のことです。
当時、かわいがっていたウサギのために、父と一緒に大型の小屋を手作りしました。
その小屋は、ただのウサギ小屋ではなくて、移動ができて、風通しもよく、しかも2階建て。
ウサギが快適に過ごせるようにと、あれこれ考えながら作っていた時間が、とても楽しかったんです。
気づけば、「木で物を作るって面白いなあ」と夢中になっていました。
それから木工にのめり込み、
好きな形を自由に作れることがうれしくて、大きな作品や少し変わった形のものにも挑戦してきました。
たくさん作りすぎて、ご近所の人たちが見に来たくらいです。
それらを写真に撮り、「大型ディスプレイの作品集」をフォトブックにまとめたこともあります。
今思えば、あのウサギ小屋が、私の「ハンドメイド」の原点でした。
自宅のお庭に大型ディスプレイを設置してから、近所の子どもたちが毎日のように遊びに来てくれるようになりました。
お散歩の途中で立ち寄るご近所の方も、ここでおしゃべりをしたり、少し休んでいったり。
笑い声や話し声が重なり合って、いつのまにか庭が小さな集いの場所になっていました。
作る楽しさがふくらんで、学びに出かけた日々

作ることの楽しさにすっかり夢中になってからは、
もっといろいろ知りたくなって、木工や雑貨づくりの教室にも通いました。
電動工具の扱い方や、ちょっと洒落た小物の作り方など、
先生によって教えてくださる内容もさまざまで、学ぶたびに新しい発見がありました。
今では、自宅にインパクトドライバーやジグソー、電気のこぎり、サンダーなどの道具がそろっています。
好きなことをしていたら、気づけば道ができていた
実は私、ハンドメイド販売とかマルシェとか、そういう世界があること自体まったく知らなかったんです。
それでも、不思議なことに、ただ「好き」という気持ちだけで作り続けていたら、自然とそっちの道を歩いていくような感覚がありました。
気づけばどんどん作品が増えて行って、「自分の作った作品を売ってみたい」という発想がふと生まれてきました。
はじめて知った「ハンドメイドマルシェ」という世界

「自分の作品って、どこで売ったらいいんだろう…?」
まずはそこから探す日々が始まりました。
誰もが最初に思いつくように、私もまずはフリーマーケットに申し込んでみることにしたんです。
けれど、出店してみたものの…
ちょうどコロナ禍だったこともあって、人通りも少なく、出店者の数よりお客さんの方が少ないような、静かな場所でした。
期待していた分、とてもショックでした。
「どうしよう…せっかく一生懸命作ったのに…」
そんなとき、あるお客さんが私のブースに立ち寄って、こう話しかけてきたんです。
「ここで売ってたらダメだよ。ここはね、100円とか200円とか、安いものを探しに来る場所なんだよ」
そして、その方は知り合いのハンドメイド作家さんをわざわざ呼んできてくれて、
「ちょっと教えてあげて」
と、頼んでくれました。
その作家さんはとても親切で、ご自身が出店しているマルシェのことをたくさん教えてくれました。
当時の私は、「マルシェ」という言葉すら知らなかったんです。
「マルシェって…何ですか?」
そうたずねた私に、「とにかく一度、見に行ってみて」と、教えてくれました。
今思うと、あの時の私は何も知らなくて、本当に右も左も分からない状態でした。
それでも親切にいろんなことを教えてくれたあの作家さんには、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
マルシェの見学の仕方、出店の選び方、私の作品に合いそうな場所や価格帯、さらにはおすすめの開催場所のチラシまで、
本当に細やかに教えていただきました。
さっそく紹介されたマルシェに行ってみると…
それは後から知ったのですが、とても有名で歴史のあるマルシェだったんです。
人気の作家さんたちがずらりと並び、並んでいる作品はどれも本当にクオリティが高くて。
「すごい…作品のクオリティーが高い!」
お客さんも作品のファンという方が多くて、とても華やかで活気のある空間でした。
ハンドメイド販売するなら、ネットショップ?それとも出店? 私が選んだ道は…

そのあと私は、ハンドメイド作品を販売する方法には
ネットショップとマルシェへの出店という、ふたつの道があることを知りました。
マルシェに出店するには、準備することが本当にたくさんあります。
什器やディスプレイ、商品の数や値札、搬入やレイアウト…初めてだと戸惑うことばかりです。
だから、「初心者さんはまずネットショップから始めるのが安心」という声も、調べていくうちに、だんだんと納得できるようになってきました。
でも、どうしてか私は、出店する道を選んでいました。
きっと、最初に見学したあのマルシェが、あまりにも素敵で…
作家さんたちのキラキラした空気にふれて、心がときめいてしまったんだと思います。
自分の力で作り上げたマルシェへの道

それから私は、それまでに学んできた木工や編み物の経験を生かして、コツコツと作品づくりに取りかかりました。
出店準備については、まだ分からないことも多かったので、マルシェを見学したり、出店している作家さんに声をかけたり。
お仕事の邪魔にならないように、少しずつ情報を集めていきました。
什器(ディスプレイ棚など)は経費を抑えるために、自分で木工で作ることに。
このときばかりは「木工をやっていてよかった!」と、心から思いました。
自分の好きな形に自由に作れるのは、やっぱり楽しいものです。
しかも什器って、市販ではなかなかちょうどいいものが見つからないし、ネットで購入すると意外と高いんですよね。
「マルシェに出店してみたい!」という気持ちがとにかく強かった私は、そのエネルギーのままに、一気に準備を整えていきました。
…正直、今もう一度やれと言われたら、ちょっときついかもしれません。
でも、やる気のあるときに一気に動くって、本当に大事なんだなぁと感じます。
そうして、気づけば、
出店、出店、また出店。
連続でマルシェに出店していく日々が始まりました。
今振り返ると、あの選択は正しかったと思います

今になって、あのときの選択が正しかったのか振り返ってみると、
私はやっぱり「正しかった」と思っています。
出店の申し込みをしてしまったことで、
「作品を作らなきゃ!」というピンチに常に追い込まれていました。
ある程度の商品がなければ、お店に並べられませんから、
必死に作品を作り続けていたんです。
そして、出店するたびに必ず何か課題が見つかっては、改善を重ねていきました。
気づけば、その繰り返しがずっと続いていました。
マルシェに継続して出店するには、最低でも出店料を回収できるだけの利益を確保しなければなりません。
だから、お客様のニーズに合った作品を作り出すしかない、成長せざるを得ない環境に自分を置いていたということなんですね。
多くのクリエイターや起業している人と出会った

マルシェに出店していると、クリエイターさんだけじゃなくて、いろんなお商売をしている方たちとも出会います。
いわゆる起業家さんたちですね。
そういう方たちからは、すごく役立つアイデアやアドバイスをたくさん教えてもらいました。
それに、出会ったクリエイターさんが別のマルシェに誘ってくれたり、新しいマルシェの口コミを教えてくれたりして、どんどん横のつながりが広がっていきました。
こういう、実際に動いている人たちから直接聞く話って、後々本当に役に立つんですよね。
彼女たちが長年積み重ねてきた細かい工夫や、売り場のまわし方、ハンドメイド販売のリアルな情報なんかは、ネットじゃなかなか知れないことも多いですし。
それから、忘れちゃいけないのが、時々見るんですよ、接客がめちゃくちゃ上手なベテランさん。
お客さんがほとんど来ないような場所でも、声をかけるだけでまるで磁石みたいに人を引き寄せるんです。
そんな接客をじっくり観察して、真似してみたりしました。
出店することにより、フィードバックを得られた

マルシェに出ると、お客さんと直接お話しできるのがやっぱり嬉しくて。
「ここ、もうちょっとこうだったらいいな」「こんなの作ってほしいな」「編み目しっかりしてるね」「すっごく可愛い!」なんて、
ネットじゃなかなか聞けないリアルな感想をたくさんもらえるんです。
話さなくても、反応を見てると、何となくお客さんが何を思ってるのか分かったりもして。
そういう生のフィードバックが、作品を作るうえで私の大きな宝物になってます。
どこに出しても同じ反応があれば、それが答えなんだなって分かる。
良ければそのまま続けて、ちょっと違ったら変えてみるっていう感じで。
売れたり売れなかったりを繰り返す

マルシェに出ていると、正直、傷つくこともあります。
それは、思ったように売れなかったときです。
実は私、初めて出店したときはすごく売れたんです。
今思うと、その日はかなり運が良かったんだと思います。
だから、その時は「ハンドメイド販売って簡単にできるかも!」なんて調子に乗ってしまったんですよね。
でも、そのスタートの良さが、続けていく勇気をくれたのも確かです。
もしあの時全く売れなかったら、初期投資も少なかったので、やめていたかもしれません。
ほんと、スタートが良いって不思議なものです。
でも、その後は売れたり売れなかったりの繰り返しで、
ハンドメイド販売がはじめから簡単じゃないってことをすぐに実感しました。
人気作家さんのブースをチェックしに行く

マルシェに出ていると、人気の作家さんのブースをじっくり見て勉強することができます。
例えば、商品のクオリティやセンス、価格のつけ方、商品数、ディスプレイの工夫、管理の仕方、接客のやり方、ワークショップの内容まで。
それから、導線や曜日、天気、客層、集客力なんかもチェックしていました。
そんな中で、作家さんたちが自分の力だけで商品やサービスを生み出していることのすごさを実感しました。
家事や育児、それにパートをしながら、その合間にハンドメイド販売までやっているんですから。
限られた時間や予算の中で、ちゃんとお店を作っているんですよね。
マルシェ出店の道を選んだからこそ、今の自分がある

マルシェに出店することは、いつも楽しいことばかりではありませんでした。
うまくいかない日も、心が折れそうな瞬間もあったけれど、それでもあの場所には、たくさんの出会いと学びがありました。
「ハンドメイドって、やっぱり好きだな」
そう思える今があるのは、リアルな出店という選択肢があったから。
これからも、焦らず、比べすぎず、わたしのペースで。
ウサギ小屋から始まった「ハンドメイドの旅」を続けていけたらと思っています。

▼こちらの動画もどうぞ
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